木工ドリルの基礎知識編第四弾、今回は「らせん溝」について紹介していきます。
らせん溝とは、ドリル側面に見られるあのねじねじした溝のことを指します。
ねじねじの隙間を通って切りくずが上に上がっていくのでどんどん穴を掘り進めることができます。
らせん溝がなければ、すくい刃で削った切りくずがうまく排出されずに詰まってしまってけずれなくなってしまいます。
そういった意味でもとても重要な構造と言えるのです。
第四弾は「らせん溝」について詳しく説明していきます。
らせん溝=切りくずの通り道
らせん溝はすくい刃が削り取った切りくずの通り道となっています。よく見るドリルの側面のねじねじがらせん溝といいます。
ここを通ってすくい刃で削り取った切りくずが排出されているため、ドリルを回転させている間はどんどん掘り進めていけるしくみになっています。
逆にらせん溝がないと切りくずがすくい刃の部分に詰まって全く削れなくなります。
詰まって削れない間もドリルは回転しているので、摩擦熱が発生して周囲が焦げたり、ドリルの変形の原因にもなります。
製造メーカーや製品によって形状が違う
らせん溝の形状は製造するメーカーや商品によって異なります。
これは①刃の配置や形状の違い ②径の大きさが関係していると思います。
刃の配置や形状の違い
すくい刃の配置や形状が違うと削るしくみが変わってきます。
削るしくみが違うと切りくずの形状も変わってくるため、それに合わせたらせん溝が設計されている必要があります。
ですので、マキタ3D木工ビットやスターエムのインパクトビットショートではらせん溝の形状が変わってきます。
径の大きさの違い
大径の穴あけのように大きな切りくずが出てくる場合だと、途中で切りくずが詰まらないよう広めの方がいいでしょう。
逆に細かくて小さい切りくずならそこまで幅が広くなくてもいいなど、ドリルのサイズによっても変わってくると思います。
らせん溝の黒い色は装飾とサビを防ぐ効果
木工ドリルはらせん溝の部分だけ黒く染められているものが多いですが、これは「黒染め」と呼ばれる加工になります。
メッキ加工などを施していない生の鉄製品は、放置しているとすぐに赤さびが発生してきます。
そこに黒染めをすることで鉄製品のサビを防ぎ、見た目もかっこよくなって装飾性を持たすことができます。
大工道具のノミやかんなも刃以外の部分が黒く染まっていますが同じような目的です。
今回のまとめ
メーカーや製品によってらせん溝の形状や幅が異なる
らせん溝部分の黒い色はサビを防ぐと同時に装飾性をもたせている
形は違いますが、木工用、鉄工用など、ほぼ全てのドリルビットにこのらせん溝があります。
ドリル=あのねじねじの溝、というドリルの象徴的な部分ですが、実は切りくずを外に出すという重要な働きをもっていたのです。
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